日本代表19−61オーストラリア首相XV@秩父宮ラグビー場

財団法人 日本ラグビーフットボール協会創立80周年記念
ラグビーワールドカップ2007アジア地区最終予選壮行試合
日本代表19−61オーストラリア首相XV@秩父宮ラグビー場

トライ数は3−9とスコア的には完敗も課題がよく見えるゲームでした。

点差が開いた大きな要因は1対1でのタックルミスが多かったこと。体をあててもそのままはねとばされてしまうか、ハンドオフでとばされることも。スパッと抜かれると、フォローのDFも間に合わずにトライまで一気にいかれてしまう。2対2や3対3の同数の状況でもきれいに抜かれることが多かった。BKラインのアタックでは一人や二人多い状況でもなんとなくダラっと外へボールが回され詰められて狙いうちにされてしまう。

立ち上がりの20分で立て続けに4トライをとられて点差が広がってしまったが、国際レベルでの強さと間合いに対応できない内に取られてしまったもので、前半の後半20分は互角のいい内容でできた。また後半の最後の方ではスタミナ切れで走れなくなった印象です。チーム自体は集合して間もないとはいえトップリーグは佳境の時期でもあり内外のレベル差を実感する試合でもありました。

FWは健闘していた。スクラムは圧力をかけていて上々、ラインアウトはゴール前の大事なところでとれなかったのが2本あったが、結構取れていた。オーストラリアが外へ大きく展開してくるチームで近場をあまり攻められなかったのもあるけど、十分対応できていたように思う。課題はBKの方に多いかな。大体バックスリーのスピードランナーで勝負するというが、本当にそこが強みなのか?特に注目してみていたキックを蹴りこまれたときの対応では、漫然と逆サイドにボールを回すことが多く全然機能していなかった。この辺りは練習を通じて意思統一を図ってほしい。またDF時ではさきほども書いたが同数のときにきれいに抜かれてしまうのはユニットとしての守り方ができていないようなのでこちらも練習で詰めてほしいところだ。記者会見コメントによると。

(以下転載)

――日本代表のなかで気になった選手は。
○ドワイヤー監督
フロントローの3人。タイトでいい。バックスもランニングはいいですね。カーワン氏の指導でバックスとフォワードのコンビネーションがうまくとれるようになれば、いいチームになると思う」

(転載終了)

「バックスもランニングはいいですね」とは他の部分はダメということか。キックへの対応とスペースがあるときのDFにおいて諸刃の剣になっているように思う。

一方のオーストラリアでは、スペースを見つける視野の広さと2対2や3対3の状況でのコンビネーションが素晴らしく、トップレベルのランニングスキルを見れて素直に感心しました。大西ジャパンで「展開・接近・連続」の標語があったが、それを具現化した動きのように見えた。ボールキャリアーに対してフォローするランナーが近づいたり逆に離れたりすることで次に動くべきスペースを共同して作っている。決め事のムーブではなくてその場の状況に応じてスペースを作り活用する。よいものを見れました。

点差は開いたけれども、試合中も常にダレることもなく引き締まった内容でした。攻守とも課題がはっきりしたのでヘッドコーチにとっては正に腕の見せ所で、料理しがいのある素材ではないかと思います。なかなか興味深い内容でした。1年後の本大会でオーストラリア代表ワラビーズとあたるわけだから、この試合を指標として今後1年間の代表チームを見ていきたい。