読書生活2006

2006年の読書から強く印象に残ったものを4点挙げる。

1.鬼塚英昭「天皇のロザリオ 上下」(成甲書房)
太平洋戦争後の占領期に日本をキリスト教国化しようとする計画が存在したことを詳細に解き明かしていく。明治期以後の天皇制が従来あった天皇制にキリスト教的な体系を接ぎ木したものであることの傍証にもなっている。

天皇のロザリオ 上巻 日本キリスト教国化の策謀

天皇のロザリオ 上巻 日本キリスト教国化の策謀

天皇のロザリオ 下巻 皇室に封印された聖書

天皇のロザリオ 下巻 皇室に封印された聖書


2.渡辺京二「逝きし世の面影」(平凡社
幕末及び明治期の来日外国人の記録を元に、西洋化/近代化する以前の我が国の姿を描き出している。日本的な伝統と呼ばれるもの多くが近代化以後に導入されたものでありここで記された在りし日の文明と現在の我が国との距離を意識してみること。

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)



3.後藤正治ラグビー・ロマン −岡仁詩とリベラル水脈−」(岩波新書
同志社大学ラグビー部の指導者を努めた岡仁詩氏の評伝です。彼の師匠にあたる星名泰から岡仁詩を通じて多くの教え子達へそのリベラル精神が引き継がれているように思う。とても詩的なタイトルと副題ですが、読み終わってみるとこれしかないと思わせるものです。

ラグビー・ロマン―岡仁詩とリベラル水脈 (岩波新書)

ラグビー・ロマン―岡仁詩とリベラル水脈 (岩波新書)


4.佐藤優「獄中記」(岩波書店
クリスマス直前に読んだのだが打ちのめされてしまった。鈴木宗男事件に関係して起訴された外交官の拘置所内での読書と思索の記録。彼の他の著作でもそうだがぐいぐいと読ませる。個人的な感慨としては著者の職業/政治倫理感はプロテスタント的であり僕の感覚に近い。この本を読んだことを契機として、キリスト教神学を改めて体系的に学びたいと考えるようになった。

獄中記

獄中記